パイロンヒット減少が生み出した激戦

2018シーズンのマスタークラスはパイロンヒット数が大幅に減少している

The Airgators repair a fallen pylon

エアゲーターたちはレーストラックでさぞ退屈な思いをしているに違いない。2017シーズンの彼らは、マスタークラスだけで合計117本のパイロンを修復した。しかし、2018シーズンのパイロンヒットはこれまで46回で、パイロンヒット率は前年比60%減(第7戦インディアナポリス終了時点)となっており、これが激しいタイトル争いを生み出している。

2018シーズンは、マスタークラス全パイロットが前年比減を実現している。2016シーズンでパイロンヒットがゼロだったパイロットはピート・マクロードだけだったが、彼も2017シーズンは第7戦終了時点で6回を計上していた。しかし、今シーズンは3回だけで、パイロンヒット率前年比50%減となっている。

今シーズンこれまでパイロンヒットを記録していないパイロットは2名で、当然ながら、共にRed Bull Air Race World Championship屈指のベテラン、カービー・チャンブリスとニコラス・イワノフだ。2017シーズン第7戦終了時点ではそれぞれ7回、3回を記録していたことを踏まえると、今シーズンは大幅に向上したと言える。

チャンブリスとイワノフに次ぐのが、2016シーズン王者マティアス・ドルダラーだ。2017シーズンのドルダラーは12回を計上していたが、今シーズンの彼はわずか1回で、前年比91%減を実現している。尚、王座を獲得した2016シーズンのヒット数は5回だった。2017シーズンのドルダラーにはタイトル防衛のプレッシャーがのしかかっていたのは明らかだが、2018シーズンの彼はよりリラックスしたアプローチでレースに臨んでおり、パイロンヒット率に関しては大きく進歩している。

2017シーズン王者、室屋義秀のパイロンヒット率も6回から1回と、83%減を実現している。ちなみに昨シーズンの6回のうち5回はフリープラクティスで記録されていた。これは室屋が積極的にベストラインを探っていたこと、そのチャレンジをほぼ全てのレースで結果に結びつけていたことを意味している。

最終戦フォートワースに2018シーズン王座の可能性を残しているマイケル・グーリアン、マルティン・ソンカ、マット・ホールの3名も、今シーズンはパイロンヒット率を減少させている。昨シーズンのソンカは第7戦終了時点で3回だったが、今シーズンはわずか1回に留めており、グーリアンは8回から2回と、75%減を実現している。ホールも8回から6回に減らしているが、うち2回を決勝レース日に記録しており、貴重なポイントを失っている。

昨シーズンより回数が増えている唯一のパイロットが、ベン・マーフィーだ。ただし、これはやや不公平な比較と言えるだろう(2017シーズンのマーフィーはチャレンジャークラスで、機体はExtra 330LXだった)。2018シーズンのマーフィーはマスタークラスルーキーで、機体もEdge 540に変わったため、多くを学んでいる状況と言える。ただし、決勝レース日でのヒット数がゼロという事実は触れておくべきだろう。また、総数も他のパイロットのデビューシーズンより少ない。ミカ・ブラジョーは10回、クリスチャン・ボルトンは15回(2017シーズンの全パイロット中最多)をデビューシーズンに計上している。

2018シーズンのマスタークラスパイロットたちはパイロンの悪魔を追い払ったかのように思える。しかし、11月17日・18日に開催される最終戦フォートワースは強風が待ち受けているため、パイロンにフライトを左右されるかもしれない。白熱するタイトル争いの行方と共に、各パイロットのシーズンラストフライトの精度にも注目したい。

マスタークラス・パイロットのパイロンヒット数比較(2017シーズン / 2018シーズン)

PILOT2017 HITS*2018 HITS*PERCENTAGE DROP(減少率)
クリスチャン・ボルトン15846 
ベン・マーフィー2**7-250 
マティアス・ドルダラー12191
フアン・ベラルデ12558 
ミカエル・ブラジョー10 280 
フランソワ・ルボット614 
ペトル・コプシュタイン55 
マイケル・グーリアン75 
マット・ホール25 
ニコラス・イワノフ100 
室屋義秀83 
ピート・マクロード50 
カービー・チャンプリス100 
マルティン・ソンカ66 

*・・・第7戦終了時点
**・・・2017シーズンに5戦エントリーしたチャレンジャークラスのパイロンヒット数

 

■Information

2018シーズンの最終戦 フォートワース(米国)は、11月17日、18日に開催。