ドルダラー:夢へ一歩ずつ

シュピールベルクでキャリア初優勝を飾ったドルダラーはかつてないほどの自信を得ている。

Dolderer is growing in confidence

4シーズンという長い時間がかかったが、Red Bull Air Race World Championship 2016シーズン第2戦シュピールベルクでついにマティアス・ドルダラーがキャリア初勝利を挙げた。2009シーズンから参戦していた彼にとって、今シーズンはワールドチャンピオンという夢が最も現実に近づいている。

2016シーズンのドルダラーは生まれ変わったかのように活力に満ち溢れており、既に優勝候補のひとりに名を連ねている。しかし、南ドイツ・タンハイム出身の彼のこれまでの道のりは決して楽ではなかった。

ドルダラーが初の表彰台を記録したのはデビューシーズンとなった2009年の最終戦バルセロナだったが、2度目の表彰台は2014シーズンのラスベガスの3位まで待たなければならなかった。そして、続く2015シーズンも第2戦の千葉で3位に入ったものの、その後は活躍できず、トレーニングと予選ではまずまずの結果を残していたものの決勝で中位以下に沈むというスランプに陥っていた。

しかし、前年に引き続きラスベガスで表彰台を記録して有終の美でシーズンを終えると、その好調を2016シーズンにも持ち込むことに成功し、高速のパフォーマンスを維持している。しかし、2016シーズンのドルダラーの一番の変化は、本人がシーズンとフライトを楽しんでいるという点だ。

シュピールベルクを制したあと、ドルダラーは次のようなコメントを発表している。「メンタルが非常に重要だ。メンタルが整っているほど、気楽に取り組めるようになる。準備はもちろん、実際に機体に搭乗している時のメンタルも重要だ。プレッシャーを上手く扱い、プレッシャーに晒されている自分をコントロールしなければならない」

ドルダラーはシュピールベルクでの初勝利を両親と、これまでハードワークで彼を捧げてきたチームに捧げている。「準備はしっかりとしてきたし、自分のメンタルも整っていた。シュピールベルクのラインを攻略するにはかなりの自信が必要になる。しかも、ハンネス(アルヒ)ナイジェル(ラム)を上回るには自分の限界に挑まなければならなかった。努力してくれたチームに感謝したい」

今シーズンのドルダラーのチームは寝る間も惜しんで搭乗機Edge 540 V3に様々な修正を施してきた。現在、彼の機体には特製のウイングチップが装着された他、キャノピーの小型化も実現されている(このためにドルダラーのヘルメットのサイズ変更も行われた)。尚、ドルダラーは今後も調整を行う予定だとしている。

このように全力かつ前向きにシーズンに取り組んでいるドルダラーだが、ワールドチャンピオンに向けての戦いについては、慎重な姿勢を崩していない。

「目の前のフライトに集中している。シーズン終盤については考えていない。Red Bull Air Raceでは何だって起こりえる。どのレースもトラブルが発生する可能性がある。自分にできるのは、できる限りベストの状態に近づけるようにハードワークを続けることだけだ。かつてはワールドチャンピオンを第一目標にしていたし、そうなればいいなと思っていたが、夢を現実にするのはまた別の問題だ。上手く説明できないが、以前よりも自信を持てている。夢を現実にするための大きな助けになってくれるだろう」

アグレッシブなレース展開とは裏腹に、冷静に語るドルダラー。だがその目の奥には既に、ワールドチャンピオンの座を捉えている?