FEEL THE AIR @ブダペスト:2年ぶりのアンダー・ザ・ブリッジ

現地に行ったつもりになれるエアレース旅行記

身もふたもないことを言わせてもらえば、屋外イベントは好天こそが最高の演出だ。今年のレッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップを見ていると、そんなことをしみじみ実感する。
今シーズン第4戦が行われたハンガリーの首都、ブタペストは、夏の強い日差しが照りつける一方で、時折心地よい風が吹き込み、エアレース観戦には絶好の天候に恵まれた。思えば、昨年のブダペストでのレースは悪天候により、ラウンド・オブ・8で打ち切りになっている。

 

街を走る2階建てバスも、オープントップの2階席では気持ちよさそうに風に吹かれる観光客でいっぱいだった。

 

ご存じのようにここブダペストでのレッドブル・エアレースは、世界遺産に指定されている歴史ある街のど真ん中で行われる。街のあちらこちらを眺めながらそぞろ歩きしていれば、嫌でも軽快なエンジンを響いてくる。

ただし、レース開催期間中は、レーストラックが設けられるドナウ川周辺の広範囲に交通規制がかけられる。歩いて動く分には概ね問題はないが、車で動こうという人にとっては、なかなか大変だ。

 

橋くぐりでおなじみの「チェーンブリッジ(くさり橋)」は、車も人も完全通行止め。低空飛行でトラックインしてくる機体を間近で見ることは、残念ながらできない。

 

そのチェーンブリッジには、パイロットから見えやすいようにオレンジ色の幕が施され、安全が確保されている。まさに、この橋をかすめるように機体はトラックインしてくるということだ。

 

レッドブル・エアレースが目的でなかったとしても、多くの人が自然と集まる場所にレース会場があるため、老若男女様々な人たちが訪れ、その観戦スタイルも様々だ。

 

お父さんに買ってもらったばかりのキャップを早速かぶって、空を見上げる男の子。

 

川辺を気持ちよくサイクリングしていて、たまたま会場を通りかかり、足を止めて見入る人は本当に多かった。

 

隣国ということもあり、目立ったのは「チーム・チェコ」のサポーターたちだ。

 

まさしく散歩がてら立ち寄ったのか、犬を連れた人が多いのも、街中にレース会場があるブタペストならではの光景だろう。

 

仲むつまじくガードレースに腰かけてレース観戦に興じるカップル。

 

川岸の少し高くなっている場所は、人気の観戦ポジションだ。

 

特設のグッズ売り場も人気。レッドブル・エアレースの紙袋を手に下げた人を数多く見かけた。

 

さて、今度は場所をレースエアポートへ移そう。

ここはレース会場であるブタペスト中心部から30㎞ほど離れた小さな空港内にある。時間によっては渋滞も激しいため、下手をすると車で1時間もかかってしまう。

ハンガーは滑走路の端に設けられおり、ハンガーを貫くように滑走路が伸びている様は、なかなかの壮観だ。

 

少し離れた場所からハンガーを眺めると、いかに広大な土地の真ん中にポツンと建っているかがよく分かる。

 

レース会場で各ラウンドの合間に、充実のサイドアクトを行う数々の名機もここから飛び立っていく。金曜日に行われたオートグラフセッション(サイン会)のときには、偶然にもそれらがテストフライトする機会があり、ここを訪れた人たちは迫力のエンジン音と、エンジンが巻き起こす突風をすぐ近くで体感することができた。

 

ハンガーは通常、一般の人たちがなかなか立ち入ることのできないエリアだが、前記したオートグラフセッションや、スポンサー向けのハンガーウォークでは、多くの人がここを訪れ、レース機をバックに写真を撮ったり、パイロットたちからサインをもらったりと、貴重な機会を楽しむことができる。

 

子どもたちも多くのパイロットからサインカードをもらい、うれしそうだ。

 

ニコラス・イワノフのハンガー前で熱心に機体に見入る男の子の帽子には、しっかりと「Yoshi」のサインが入っていた。

 

過去2戦に連勝し、現在、チャンピオンシップポイントランキングでトップに立つ、我らが室屋義秀も大人気。ファンとの交流では、レース中の厳しい表情とは打って変わって、やさしい笑顔で接していた。

 

金曜日の公式練習こそ、予定されていた2セッションのうち、1回が強風によってキャンセルとなったが、それ以外のスケジュールは予定通り行われた、ブダペストでのレッドブル・エアレース。好天の下での白熱のレースは、カービー・チャンブリスの9年ぶりの優勝というドラマチックな結末で幕を下ろした。

2連勝中だった室屋も、3連勝はならなかったが、表彰台に立ち、着実にポイントを伸ばした。室屋にとっては、収穫十分のレースとなったようだ。

そう言えば、スカイラウンジの前の掲げられた幕には、こんなフレーズがあった。

 

「Who's next? (次は誰だ?)」

日本のレッドブル・エアレースファンが目にすれば、思わずほくそ笑んでしまうのではないだろうか。

 

(Report by 浅田真樹)

 

◾️Information

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