FEEL THE AIR@ラウジッツ:様々な思いが交差した最後のラウジッツリンク

現地に行ったつもりになれるエアレース旅行記

レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップがドイツ・ラウジッツで開かれるのは、昨年に続き2年連続3回目。2010年に初めて開かれたときは、その後の2戦が急遽キャンセルとなり、しかも、それから3年間レッドブル・エアレースは休止になった。2011年からの休止期間前最後のレースが行われたのが、ここラウジッツなのである。

レース会場となるのはユーロスピードウェイ、またの名をラウジッツリンクと呼ばれるサーキット(地元では後者のほうが浸透しているようだった)。2輪や4輪のレース会場として、その名を知る人も多いだろう。モータースポーツに日ごろから慣れ親しんでいる地元の人たちには、レッドブル・エアレースの人気も高い。

昨年は会場に詰めかける多くの車で周辺道路は大渋滞を起こしていたが、今回は(一部のプレミアチケットなどを除き)少し離れたところに駐車場が用意され、バスで会場まで移動する、いわゆる"パーク&ライド"方式が導入されていたため、時間によってはサーキットの目の前の道路もご覧のようにガラガラ。

 

その一方で、自転車先進国のドイツらしく、駐輪場は昨年よりも会場に近い場所に設置され、しかも、単なる"空き地"ではなく、きちんと自転車ラックが仮設されているあたりはさすがだ。

 

前売りの段階でグランドスタンドのチケットは完売しているとのことで、ラウジッツリンクには午前中から続々観客がやってくる。レース開始の何時間も前から入場ゲートには長い列ができていた。

 

チケットを確認してもらい、会場に入ると、まずはお馴染みのゲートがお出迎え。

 

その脇には、ホストパイロットであるマティアス・ドルダラーとレース機が立ち、絶好のフォトスポットとなっていた。

 

日本でも観光地などでおなじみの顔出しボード。究極の三次元モータースポーツのレッドブル・エアレースらしい構図だが、これに顔を収めて写真を撮るのはなかなか大変だ。

 

家族連れで楽しめる施設が整っているのは、こうした常設の会場ならでは楽しみだ。ポルトやブダペストのような市街地の会場では難しい。

 

なかには親子でレーサー気分を味わえるものもあった。

 

もちろん、こうしたイベントでは食もまた、エンターテインメントの重要な役目を担う。屋台が立ち並ぶフードエリアにはたくさんの人が集まっていた。

 

フードエリアではBGMもばっちり。観戦ムードを盛り上げる。

 

屋台と言っても、その充実ぶりはバカにはできない。おいしそうなものが並び、目移りしてしまう。

 

なかでも店の前に長い列ができ、人気を集めていたのが、「Quarkkrapfen」というドイツのドーナツ。一口、いや、二口サイズの小さな揚げドーナツで、揚げたてに粉砂糖を振ってくれる。

 

昨年の開催時期とは2週間しか違わなかったにもかかわらず、すでにラウジッツは気温が低く、冬の装いの人も多かった。当然、アイスクリームはあまり売れ行きがよくないようで、逆にホットコーヒーが人気。とはいえ、少々寒かろうと、ドイツでビールは無敵のコンテンツ。まさに飛ぶように売れていた。

 

グランドスタンド下にはサーキット直営のレストランもあり、テラス席ではレースを見ながら食事を楽しむことができる。

 

少々寒くても、ヨーロッパの人たちは外でくつろぐのが大好きだ。

 

食べ物以外にも出店は多く、レッドブル・エアレースのオフィシャルショップの他、まったくモータースポーツとは関係のないおもちゃを売る店もあっておもしろい(しかも、案外売れている)

 

サーキットならではのレース関連のグッズを売る店では、肌寒さも手伝って簡易クッションが大人気。なかには自宅で使っているクッションをそのまま持ってきたような人もいて、この環境下でのレース観戦には不可欠なようだ。お店のものもこれだけ積まれていたのに、レースが始まる前には売り切れてしまっていた。

 

グランドスタンドの裏手では、サイドアクトが大盛況。

 

Xファイターズの妙技にはスタンドの階段にも観客が集まっていた。

 

サーキットのマスコットキャラクターも会場内を回り、記念撮影で大忙し。

 

サーキット内でもサイドアクトは充実しており、ドリフトカーは特に注目を集めていた。

 

サイドアクトの時間以外ではブースに展示されていたドリフトカーには多くの人が興味津々。

 

さて、ここで前回ポルトのときにも紹介した「ジッピングチャレンジ」について、今回もあまりに人気になっていたので少し詳しく紹介しよう。

タイムアタックは、まずは本番さながらパイロンヒットからスタートする(立っているパイロンの白い部分についたひもをスタッフが引っ張ると、上の赤い部分と切り離される仕組みになっている)

 

このふたつに分かれたパーツをジッパーでつなぐのだが(実際のパイロンもジッパーでつけかえている)、ちょっとしたコツがいるようで、これがなかなか留まらない。子供はもちろん、大人でも結構時間がかかる人が多かった。

 

ベストタイムを出せば、それがボードに掲示されるが、スタッフのお兄さんによれば「このタイム(31秒)はまず破れない」とのことだった。

 

残念ながらベストタイムを出しても特に賞品はないが、参加者全員にステッカーがプレゼントされる。何よりエアゲーター気分を味わえるのが特典ということだろう。

 

さて、次にスタンド内へ足を運んでみる。

 

スタンドは角度があって見やすい分、こうして下を見下ろすと、怖いくらの急斜面だ。

 

下に見えるハンガー前のエリア(ハンガービューエリア)にも入ることはできるが、別途チケットが必要。タイミングがよければ、パイロットがサインをしてくれたり、缶バッチ、フラッグなどのオリジナルグッズをもらえたりする。

ちなみに、圧倒的一番人気が、地元のマティアス・ドルダラーであることは言うまでもないが、隣国チェコからの応援も非常に多く(大型バスで直接やってくるグループも多かった)、マルティン・ソンカやペトル・コプシュタインの人気は高かった。

 

スタンドからのレーストラックの眺めはこんな感じ。少し距離はあるが、トラック全体がくまなく見渡せるうえに、大型モニターも見やすいのでレース観戦には絶好だ。

 

サーキットを利用したレースでは、レース機の離着陸も間近で見られる。

 

昨年もそうだったが、ラウジッツはいつも雲が低く垂れこめ、天候が変わりやすい。それを考えれば、今年のレースはかなり順調に行われた。1日中さわやかな天気で、というわけにはいかなかったが、風はほとんどなく、公式練習からファイナル4まで特に不安なくレースが開催された。

 

サーキットでのレッドブル・エアレースは、市街地レースに比べると、風景という意味でやや味気無さがあるのは否めない。だが、コンパクトななかにすべてが詰まっており、気軽にエンターテインメントを楽しめるという点ではやはり上。トイレを探すのも一苦労、などということもない。

ただし、ラウジッツリンクは他企業に売却され、今年で営業の終了が決まっているという。(恐らく)必然的に来年以降、ここでレッドブル・エアレースが開催されることもないだろう。ドルダラーのファンが多数詰めかけ、独特な盛り上がりを見せるレースがなくなってしまうと思うと、ちょっと寂しい。

また昨年、ハンネス・アルヒが生涯最後のレッドブル・エアレースに出場したのが、ここだった。昨年の第6戦がラウジッツで行われた直後、不慮の事故により突然この世を去った豪胆なパイロットの姿が、この地にやってくると悲しみとともに思い出される。

室屋義秀が今季3勝目を挙げた歓喜の一方で、一抹の寂しさも覚えたラウジッツリンクでのファイナルレースだった。

 

(Report by 浅田真樹)

 

【Information】

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