グーリアン:チーム改革で得た9年ぶりの優勝

9年ぶりとなるキャリア2勝目を手にした米国人パイロットが、その原動力となったチーム改革について語った。

Goulian and his Tech Warren Cilliers

モータースポーツではチームワークが重要なカギを握っている。整備の行き届いたエンジンのようにスムーズなチーム運営ができなければ、やがて様々な問題が発生し、何らかの形で破綻が生じることになる。過去数年間、マイケル・グーリアンはチーム内での適材適所を実現すべく奮闘を重ねてきたが、ここにきて彼はついに勝利の方程式を手にしたと実感しているようだ。

グーリアンはRed Bull Air Race World Championshipで最も勤勉なパイロットのひとりとして知られているが、全ての条件を揃えて結果を出すことに長らく苦しんできた。しかし、過去数シーズンで復調の兆しを何度か見せていた彼は、ついに2018シーズン開幕戦アブダビで全ての歯車を噛み合せて優勝した。

それ以前のグーリアンの優勝は、2009シーズンのブダペストまで遡るが、2勝目を挙げるまでなぜこれほど長い時間がかかったのだろう? 「同じ質問を何回も自問してきた」とグーリアンは冗談めかして語る。「誰もが知っている通り、エアレースは常に限界を追求しなければならない非常に難しいスポーツだ。パイロットに最高のフライトが求められるのはもちろん、本当に優れた機体とチームを手にしていなければならない。徐々に自己疑念が生まれ、言い訳を探し始めてしまうのは良くあることだ。しかし、自分の内面と向き合い、競技者としてのパフォーマンスを冷静に分析しなければならない」

過去4年間、Team Goulianはチームワークの向上に取り組んできた。クルーの適材適所を実現し、誰もがのびのびと仕事ができる環境を生み出そうとしてきたグーリアンは「今は、パイロットがフライトだけに集中できるチームと機体を手にできている」と語る。

Red Bull Air Raceのレースで優勝し、ワールドチャンピオンになるためには安定性が重要であることは明白な事実だ。2017シーズン最終戦でレースに勝てる機体とパイロットを手に入れたことを確信したとしているグーリアンは、次のように語る。「2017シーズンは、コンスタントにラウンド・オブ・8へ進出できていたが、ファイナル4にはなかなか進出できなかった。そこで、ミーティングを重ねながらチームの仕事の進め方を見つめ直し、コンスタントにファイナル4へ進出してチャンピオン争いに絡むために必要な課題を洗い出した。それらの積み重ねがようやく実を結んだ」

簡単そうに聞こえるが、変化を強いられる部分は多い。チーム全員の習慣やマインドセット、仕事の進め方など、あらゆる面の修正が必要になる。そこで、グーリアンは、レースでの勝利を熟知している人物の助言を仰いだ。「昨年の秋、ナイジェル・ラムが私の自宅に数日滞在した。その時に2人で多くを語り合ったが、彼からは『他のビジネスに気を取られすぎている状態で、どうやったら勝てるというんだ』と言われた。レースではなるべくビジネスのことを考えず、戦いに集中すべきだと。それで、新たにチームへ迎えたTC(チーム・コーディネーター)のエミリー・マンキンズが、アブダビに到着するやいなや私の携帯電話とコンピューターを取り上げた。ビジネスから切り離された私は集中してゾーンに入れた」

パイロットから通信機器を取り上げるTCを擁するチームには、極めて深い信頼関係が存在するはずだ。「パイロットにとってチームは非常に重要だ。上手く機能しているチームでは言葉を使う必要がない。ボディランゲージだけでお互いの考えていることが分かる。チームはファミリーでなければならない。リラックスできる環境でなければならない。地球の裏側でレースする時は特に重要だ。気持ちを落ち着かせることができるというのは、レースを戦うパイロットにとって非常に大事だ」とグーリアンは説明する。

これまで数シーズンに渡って取り組んできたチーム改革プランが実を結び、チームを完全にコントロールできるようになったグーリアンは、この勢いに乗りたいと考えている。「これからもできる限り多くのレースでファイナル4に進出したい。シーズン終盤になれば、ワールドチャンピオン候補になれているかどうかが分かるだろう」

 

 

■Information

2018シーズンの第2戦は、4月21日、22日に初となるフランス・カンヌで開催。