精度と効率が求められるシュピールベルク

シュピールベルクのレーストラックの特徴をレースディレクターが解説した。

Dolderer though the track...

Red Bull Air Race World Championshipの2016シーズン第2戦が4月末にオーストリア・シュピールベルクで開催される。オーストリアが誇るサーキット、レッドブル・リンクでの開催は3シーズン連続となるが、今シーズンはこれまでの秋開催とは異なり、春開催となる。

レッドブル・リンクはシュタイアーマルク州の山に囲まれた谷に位置しているため、山間部独特の激しい天候変化が予想されている。決勝レース日では天候が非常に重要な要素になるだろう。この時期の平均気温は6.7度なので、機体の温度が上がらないことが予想される。低温が維持できていれば機体のポテンシャルが最大に引き出されるため、好タイムのレースが展開されるはずだ。

しかし、レースディレクターのスティーブ・ジョーンズは、パイロットたちはこのレーストラックのその他の試練に立ち向かわなければならないとしている。レッドブル・リンクはシンプルなレーストラックに見えるが、高低差が65mもあり、木の数も多いため、パイロットたちは3次元でコースを捉える必要がある。

まず、パイロットたちは実際にタイム計測が始まる前から集中力を高めていかなければならない。ジョーンズが説明する。「パイロットたちはスタートゲートへの進入ラインをしっかりと考えておく必要があります。というのも、ゲート1直後の観客席と木を意識しながら、ゲート2まで効率良く飛ぶ必要があるからです。ゲート2からのシケインも難しいですね」

ジョーンズは、シケイン進入後は視界に入ってくるコースの傾斜を無視しながら進み、次に控える高速バーチカルターンのGフォースに耐える準備を整える必要があると続ける。また、テクニックをキープしながら正しい判断をして、キャノピーとパイロンの距離を数mの距離に保つこともシケイン攻略のカギとなる。

「シケインではとにかく機体の姿勢を一定に保つことが重要になります。ゲート4を通過すると、最初のバーチカルターンが待っています。バーチカルターンでは10Gがシートにかかるため、パイロットたちのスキルが試さることになります。このバーチカルターンは数秒の差を生み出すので、正しいラインで飛ぶことが重要になります」

バーチカルターンでは機体のコントロールがカギだ。操縦桿を微妙に操作して、機体の上昇角度をなるべく大きく取るようにしなければならないが、操縦桿を引きすぎてしまえば、気流が翼からはがれてストール状態となり、貴重なタイムを失ってしまうことになる。

パイロットたちは上昇後にコックピット内で首を上げ、ゲート5を早めに視認しながら下降していく。操縦桿を操作して、逆さまになった機体をロールさせて元に戻し、ダブルゲートに向けて高度を落とす。これが上手くいけば、ゲート6に正しい姿勢で進入できる。あとは、続くゲート7をハードレフトで抜けて、2度目のバーチカルターンに備えていくのだが、ここでもまた10Gがかかることになる。

「このレースのもうひとつの難所が、ゲート8でのバーチカルターンですね。機体を少しでも余計にコントロールしようとすれば、失速してタイムを失います」とジョーンズは説明している。その後で迎える2周目はスピード勝負となるようだ。ジョーンズは次のように締めくくっている。「2周目はスムースなフライトとタイトなラインでとにかくスピードを落とさないことが重要です。2周目に入ればパイロットたちは多少の余裕を持てるようになりますから、しっかりと考えながらフライトをする必要がありますね」