ナイジェル・ラム:キャリアハイライト

2016シーズン限りで現役引退を表明しているナイジェル・ラムのキャリアハイライトを振り返る

Lamb buckles up

ラムの現役生活も残すところわずか5戦となったが、伝説として名を残すことになるこのパイロットのレーシングキャリアは数多くの輝かしい記録に満ちていると言える。2016シーズンのラムは開幕戦アブダビで低調なパフォーマンスに終わると、第2戦シュピールベルクで「ここからが自分にとって本当の開幕」と奮起を誓ったが、第3戦を終えた段階でチャンピオンシップ6位と中位に沈んでいる。しかし、最終戦ラスベガスまではまだ十分な時間が残されており、何が起きるか分からない。

2005シーズンからRed Bull Air Raceに参戦している大ベテランのラムだが、そのキャリアは大器晩成型といえるものだ。彼は2014シーズン第3戦マレーシアでキャリア初優勝を記録し、同シーズンに自身初のワールドチャンピオンを獲得した。2016シーズンもまだ中盤を迎えたばかりのこのタイミングでその偉大なキャリアを総括するには若干気が早いかもしれないが、ひとまず過去9シーズンにもわたる彼のRed Bull Air Race参戦歴におけるハイライトを振り返っていく。

 

1. ロングリート(2005シーズン):母国でデビュー

ラムにとってRed Bull Air Race初参戦を果たした2005年は新たな挑戦のための転機となった。過去にはローデシア空軍パイロット、そして世界的な曲芸飛行パイロットとして活躍してきた彼は、航空界では既にトップレベルといえる実績を持っていたといって良い。彼は曲芸飛行パイロットとして30年の経験を持ち、英国エアロバティックス選手権のアンリミテッドクラス史上唯一の8連覇を果たしていた。きわめて精緻なフライトをパイロットに要求するRed Bull Air Raceは、高いスキルと空への情熱を持ち合わせていた彼にとって絶好の舞台だったに違いない。ラムは2005シーズンも終盤となった英国のロングリートでRed Bull Air Race初参戦を果たし、母国のファンたちから温かい声援で迎えられた。

 

2. サンディエゴ(2007シーズン):初の表彰台

フル参戦2年目となった2007シーズンは序盤こそ低迷したものの、ラムは第10戦サンディエゴで自身初の表彰台を射止める。この3位は彼にとってこのシーズンにおける唯一の表彰台フィニッシュとなったが、その後再び彼が表彰台に戻ってくるまでは長い時間を要した。彼が2度目の表彰台を経験したのは2008シーズン最終戦オーストラリア(2位表彰台)。チャレンジングな混戦模様を呈した2008年のチャンピオンシップにおいて、彼は年間総合7位でシーズンを終えた。

 

3. 2010シーズン:成功の兆し

2011年から2013年までRed Bull Air Race World Championshipは3年間の休止期間に入ることになるが、ラムが初めてワールドチャンピオンの視野に捉えたのが休止前の最後のシーズンとなった2010年だった。この年、ラウジッツリンクで行われた実質上のシーズン最終戦となったドイツで彼は年間総合3位の座を確定させる。2位フィニッシュを3回記録し、ラウジッツリンクをはじめとして4位フィニッシュを3回記録したラムは、チャンピオンシップを見据えて戦うには一貫性がカギになることを学んだ。休止前最後のシーズンとなったこの年、チャンピオンの栄冠を手にしたのは同じ英国出身のポール・ボノム。しかし3年後、ラムは更に力をつけて逆襲に出ることになる...

 

4. 2014シーズン:初優勝とワールドチャンピオン獲得

3年間の休止期間を経て2014年に再開したRed Bull Air Race World Championshipは、ラムのキャリアにおいて2つの大きなハイライトをもたらすことになった。まず、この年初開催となったマレーシアでの第3戦プトラジャヤにおいてラムはキャリア初優勝を達成。ジンバブエ(旧ローデシア)で空軍パイロットとして暑さと戦いながら緊張感に満ちたフライトを数多く経験してきたラムにとって、マレーシアでの高温多湿なコンディションは全く問題にならなかった。このプトラジャヤでの優勝は、ラムにとって大きなブレイクスルーをもたらした。彼はマレーシアでの初優勝以降、最終戦オーストリアまで5レース連続で2位フィニッシュを続ける目覚ましい快進撃を見せたのだ。安定した成績を残し続けた彼は、最終戦シュピールベルクでも2位フィニッシュを果たし、年間チャンピオンシップポイントで2位ハンネス・アルヒの53ポイントに対してラムは62ポイントを獲得。自身初のワールドチャンピオンの座に輝いた。

 

5. 2016シーズン:再びタイトル争いの最前線へ

現役最後となる2016シーズン、ラムは依然として表彰台を見据えた戦いを続けている。開幕戦アブダビこそ下位に沈んだものの、自身が「ここからが自分にとっての本当の開幕」と語った第2戦シュピールベルクでは2位表彰台を記録し、現役ラストイヤーでのワールドチャンピオン獲得へ向けて名乗りを上げた。ラムは第3戦千葉でも好調を維持してファイナル4進出を果たしたが、惜しくも連続表彰台フィニッシュはならず、4位でレースを終えた。第3戦終了時点でチャンピオンシップをリードするマティアス・ドルダラーを14ポイント差で追いかけるラムは、ボノムやベゼネイといったRed Bull Air Raceの元チャンピオンたちと並んでレジェンドの仲間入りを果たす前にもう一度タイトルを獲得すべく、残り全5戦に全力で臨むはずだ。

 

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