ポルト:ボノム&ジョーンズのレーストラック解説

2人のレジェンドがポルトガルのレーストラックの特徴と思い出を語る

Jones(l) and Bonhomme discuss Porto

Red Bull Air Race World Championshipが8年ぶりにポルトガル・ポルトで開催される。ポルトガル北部に位置するこの港町は2007シーズン・2008シーズン・2009シーズンの開催地に選ばれていたが、その記念すべき初開催時に優勝したのが現レースディレクターのスティーブ・ジョーンズで、2009シーズンに優勝したのが、ワールドチャンピオンを3度獲得したポール・ボノムだった(2008シーズンは故ハンネス・アルヒが優勝)。
今回は現地入りしたジョーンズとボノムをキャッチして、ポルトのレーストラックの特徴や思い出などについて語ってもらった。

ジョーンズはポルトについて次のように切り出す。「現役時代、ポルトのレーストラックはお気に入りだった。シンプル過ぎるという不満の声が数多く上がっていたが、私はレーストラックのロケーションの素晴らしさを気に入っていた。ポルトのほぼ全てが見渡せるのは本当に素晴らしいと思う」

ボノムも「最高のロケーションだ。とても美しい。川の上をポルト市内へ向かってフライトし、ハチのようにレーストラックを高速で周回したあと、また海側へ戻るというのは非常にユニークな体験だ」とコメントし、次のように続ける。

「もちろん、ポルトでは全て順調だったわけではない。2007シーズンは3位でフィニッシュしたのでまずまずだったが、2008シーズンはオーバーGを記録してDQになってしまったからだ。しかし、2009シーズンは優勝し、面白いことに、そのままワールドチャンピオンも獲得できた。ちなみに2008シーズンも、ポルトを制したハンネス・アルヒがそのままワールドチャンピオンを獲得した。2008シーズンは、ポルトでのオーバーGとDQがワールドチャンピオン争いに影響してしまった。ポルトまではハンネスと私にワールドチャンピオンのチャンスがあった」

ジョーンズとボノムは共にポルトのレーストラックは非常にユニークだとしているが、それぞれが異なった戦術を用いて優勝している。ジョーンズは2007シーズンのポルトについて「あの時は、それまで見たことがない大観衆が集まっていた。人で溢れかえっていた。2017シーズンもそうなることに期待している。ポルトのレーストラックは、ドウロ川の幅が狭いため、川の中央に寄せたシンプルなレイアウトになっていて、いくつかの緩いターンと3つのバーチカルターンが配置されている。私はフライトを楽しめた。機体はストレートセクションでスピードを出せるように調整したので、ターンではあまりスピードを出せなかったが、ストレートではかなりのスピードを出せた。ポルトでは3つのバーチカルターンでミスしないことが重要だ。私はミスをしなかったので優勝できた」と振り返っている。

一方、ボノムはポルトのレーストラックについて次のようにコメントしている。「ポルトのレーストラックはスムースなフライトができるかどうかだ。ターンで勝負に出ることはできない。たとえば、第5戦カザンではタイムを削るためにゲート3とゲート4でリスクを負うパイロットがいたが、ポルトのレーストラックにはそのようなポイントは存在しない。機体を操作せず、エアフローも変えてはいけない。2009シーズンで私が優勝できたのは、機体を下手に操作せずスムースなフライトに徹したからだ。私がポルトのシケインを抜ける様子を捉えた当時の映像が残っている。それを見れば、ラインがワイドすぎると思うはずだが、実はそれが正解だった。流れに逆らわずスムースなフライトをすることが重要だ」

では、2017シーズンのマスタークラスパイロットたちはポルトのレーストラックにどう挑むのだろうか? ジョーンズは次のように考えを示す。「多くのパイロットが同じラインを採用するはずだ。ポルトで好タイムを狙えるラインは1本しか存在しない。変動要素は天候だ。ポルトは大西洋に面した港町なので、どんな天候になってもおかしくない。天候変化がパイロットに予想外の状況をもたらす可能性がある。バーチカルターンでは機体のエナジーを失いすぎないように注意する必要がある。妥協点を見出して上手くバランスを取ることが重要だ。ウイングレットを調整できるチームは、長時間かけてデータをチェックしてベストな妥協点を見出そうとするだろう」

混戦模様の2017シーズンに興奮を覚えているボノムは、ワールドチャンピオンの行方とポルトのレーストラックを次のように見ている。「ワールドチャンピオンに最も近いのはトップ4のパイロットだが、6位、いや、8位、9位のパイロットにもチャンスは残されている。このような展開はこれまで一度もなかった。ポルトのレーストラックは自分をコントロールできるかがカギになる。スピードが出せる機体を用意し、バーチカルターンで我慢し、スムースなフライトを維持できるパイロットが勝利するはずだ。3つのバーチカルターンが勝負の行方を決めるだろう。ここでストールやオーバーGを1回でも記録してしまえば終わりだ」

 

■Information

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