室屋義秀:夢は大きく

2年目の自国開催を迎えた日本期待のパイロットが語る大きな夢

Muroya is wishing big

室屋義秀はひたむきな人物だ。強い意志と不屈の精神で、様々な障壁に直面しながらも我慢強く目標へ向かっていくその姿勢は、日本国民にインスピレーションを与えている。

日本国内で一番人気を誇るトップパイロットの室屋は、エアロバティックのアンバサダーでもある。航空のすべてを心の底から愛している彼は、航空シーンが自国で成長することを願っており、「空を飛ぶこと」への愛を国内に拡散すべく、小学生たちを対象とするスカイスポーツの教育プログラムを立ち上げたが、本人は当時について「授業の一環として子供たちがエアロバティック用の機体に触れられる機会を設けようとしましたが、運営が難しく、望むだけの数を集めることができませんでした」と振り返る。

日本の総人口は1億人を超えているが、航空業界のスケールは少ない。室屋の夢はこの業界をできる限り大きく成長させることにあり、本人は国内のパイロット数を100万人に増やすことを目標に設定している。

そして室屋は、子供たちが授業の一環として「飛ぶ」感覚を実際に体験してもらうための次のアイディアを思いついた。「地元の福島県で、自治体からの助けを借りながら、パラグライダーを子供たちに体験してもらうプログラムを立ち上げました。子供たちに小さなパラシュートを装着してもらい、それを私たちが手で引くことで、彼らに地上2mのフライトを経験してもらいます。たった2mですが、『飛ぶ』感覚を掴んでもらうには十分です」

Red Bull Air Raceの千葉開催は、日本国内の航空業界のプロモーションにとっては非常に大きな後押しになっている。「Red Bull Air Raceは究極の三次元モータースポーツですし、日本開催は国内で大きな注目を集めています。注目されることが私たちの助けになっていますね。また、一般のパイロットやスポーツパイロットの皆さんと組んで、一緒に働きかけています。全国の人たちと繋がって、このプロジェクトを育てようとしているんです」

室屋の夢は国内のパイロット数の増加だけではない。子供たちに航空に興味を持ってもらうことも夢のひとつだ。「パイロットはもちろん、メカニックやエンジニアになる夢も持ってもらえたらと思っています。日本人の大半は航空についての知識を持ち合わせていないので、興味を持ってもらいたいですし、必要な情報が簡単に手に入るようにしたいと思っています。現在は9歳と10歳の小学生を対象にしています。今年は数百人の小学生の元を訪れる予定ですが、福島県だけでも20万人の小学生がいるので、大きく成長する可能性があります」

福島県は室屋にとって第一歩に過ぎない。彼は日本全国を視野に入れている。「日本の総人口は約1億2500万人いますし、ドイツ、オーストリア、フランス、英国よりも伸びしろは大きいですが、現状、国内には民間航空機が700機しかありませんし、民間航空会社のパイロットも5000人しかいません。一方で、米国には自家用機のパイロットが40万人以上もいますし、まだまだ先は長いですね」

日本のローカルヒーロー、室屋義秀の夢は大きい。室屋は最後にこう締めくくっている。「これは長期的な計画なんです。最低でも10年は続けていく予定です。その頃には、今教えている子供たちが航空業界で働いている可能性があります。私の夢は100万人に飛んでもらうことです」

 

室屋義秀の大きな夢を理解したあとは、彼の小さなトリビアを紹介しよう。

 

1:初フライトは苦い思い出 

空を飛ぶことを夢見ていた少年時代の室屋は、木に登って手を広げてジャンプすることで空を飛ぼうとしたが、当然ながら頭から落ちてしまった。

2:様々な仕事を経験

室屋はパイロットライセンスの教習料金をカバーするために、運送ドライバー、バーテンダー、農業、空港の荷物係などを経験した。

3:家族を愛する男

結婚して10歳、8歳、6歳と3人の娘に恵まれている室屋は、Red Bull Air Raceの現場と同じくプライベートでも忙しい日々を送っている。

4:スノーボードファン

20歳で初挑戦して以来スノーボードにのめり込んだ室屋は、プロ顔負けの腕前を誇る。

5:レース後は食事が楽しみ

レースウィークに2kgほど体重を落とす室屋は、レストランでの静かな食事をレース後の楽しみにしている。

6:福島県を背負う存在

トップパイロットとして若手パイロットたちのロールモデルになっている室屋だが、地元福島県では「あったかふくしま観光交流大使」にも就任しており、震災後の風評被害の払拭と子供たちの未来のサポートを目指している。 

7:早寝早起き

室屋は毎朝5時に起床し、ストレッチ、呼吸法、座禅を行って心身を整えてから1日をスタートさせている。

 

8:歴史小説が好き

室屋が好きな作家のひとりとして司馬遼太郎を挙げている。

9:パイロットになっていなかったら...?

この質問に対し室屋は「空飛ぶロボットを設計するエンジニア」と答えている。

10:赤い靴が好き

室屋は赤いレーシングシューズを好んでおり、愛機のホイールパンツ(着陸装置のホイールカバー)も赤く塗られている。

 

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