ソンカ:快進撃を支えるチームワーク

2連勝を達成したチェコ人パイロットのチームがカザンでの努力を振り返る

Sonka's team celebrate

Red Bull Air Race 2018シーズン第5戦カザンで、マルティン・ソンカはコックピットを降りて優勝トロフィーを受け取るよりも先にチームメンバーの努力を讃える言葉を口にした。今回は、ソンカが率いるTeam Sonkaを紹介しながら、何がソンカに2連勝をもたらし、シーズン3戦を残してチャンピオンシップ総合2位タイまで押し上げたのかを探っていく。

ソンカがRed Bull Air Race World Championshipへ参戦した2010シーズンから、右腕としてソンカを支えてきたのが彼の実兄ジョセフ・ソンカだ。ジョセフは弟のメンタルの乱れを最小限に抑えながら、チームパートナーとの交渉やRed Bull Air Race運営チームやメディア、ファンとの橋渡し役に至るまで、多岐に渡る業務を担っている。また、ジョセフはチーム内の仕事がシームレスで効率良く進行するように注意している。「チームメンバー全員との対話が必要ですし、お互いが気持ち良く仕事を進められるようにしています」とジョセフは説明し、「時にはちょっとしたトラブルが起きることもありますが、それを乗り越えて前に進む必要があります」と続ける。

ジョセフが受ける質問の中で最も多いもののひとつが「弟と同じ環境での仕事は楽なのか、難しいのか?」だ。本人は「こういう環境で働いた経験は他にはありませんから、何とも言えませんね。個人的に言えるのは、近い関係ゆえに、上手く行く時もあれば、上手く行かない時もあるということですね。ですが、基本的には上手く行っていますよ!」と回答している。

チームの技術面に話を移すと、米国人テクニシャンのランス・ウインターはチーム内で唯一チェコ人ではないメンバーだ。ランスは2014シーズンにソンカのチームに加わってからRed Bull Air Raceで経験を重ねており、オフシーズンのレース機体の改良作業をはじめ、各ラウンドでのEdge 540 V3のセットアップやトップパフォーマンスの維持まで、全ての技術的な部分を担当している。ソンカが使用するEdgeは最速レース機体として広く見なされているが、他のチームもコンスタントに改良を重ねている中でトップレベルを維持するには継続的な努力が求められる。

ソンカがカザンで優勝を飾った直後、ランスは次のように語った。

「私たちはハードワークを重ねてきました。ブダペスト戦の前、私たちはシリンダー6本全てを交換し、勝利を手にしました。そしてここロシアへ向かったのですが、順調に進むはずだと予想していたのですが、予選では望んでいたような結果が得られませんでした。ですが、今日は全く逆の展開となって優勝しました。とてもハッピーですよ」

全てのフリープラクティスで6位、さらに予選は12位というショッキングな結果に終わったチームにフラストレーションがあったことは、ソンカも認めていた。

「期待していたような流れにならず、かなり苦しんでいた。異なるラインを試していた」

チームが巻き返しを図るには、レーストラックで収集した全フライトデータを隅々まで精査し、最善策を見出す必要があった。しかし、残された時間はわずかだった。

メディア&PRマネージャーを務めるアイヴァン・クラコラは次のように指摘する。

「個人の責任は関係ありません。チーム一丸となって取り組む必要があります。何が原因で予選があのようなタイムになったのか分からなかったので、セッティングやレース機体など、あらゆる部分でトライを繰り返しました。予選終了後にホテルで4時間を費やして全てを解析しました。長時間の作業でしたが、報われましたね。このチームの一員でいられることは大きな誇りです」

Red Bull Team Sonkaのチームワークで重要な役割を担っているのは、当然ながらタクティシャンのペトル・フランティスだ。航空学の専門家で、研究者や大学教授(さらにはエアロバティックパイロット)としての顔を持つフランティスの主業務は、ソンカがレーストラック全体を通じて最善のラインを見出す作業を手助けすることだが、同時にソンカとは長年の友人でもある。フランティスは、チームワークとコミュニケーションの重要性を次のように説明する。

「マルティンと私は個人的な友人ですが、当然ながら関係が上手く行かなくなる時もあります。彼は常に勝利を目指す非常に才能豊かなパイロットなので、議論ではなく、対話と意見交換をするように心がけています」

フランティスはさらに続ける。

「当然、今の私たちになるまでには相当な努力が必要でした。レースの合間に多くのテストや開発作業を重ね、今回のカザンでも木曜日・金曜日・土曜日は深夜まで作業が続きました。レースハンガーでの作業だけではなく、あらゆるデータ解析にも取り組みました。一丸となって長時間を費やしたあと、日曜日の朝になってようやく全てがまとまりました。土曜日の予選後は何もかも最悪だと考えていただけに、これは奇跡ですよ」

結局のところ、その "奇跡" を生んだ要因は何だったのだろう? その答えは、ゲート3から6にかけてのパーフェクトなラインを見出す作業にあった。ソンカはこのセクションで、一見簡単そうに見えるが実は難しいスムーズなターンを描くことに成功していた。

「あのセクションの攻略がカギになった」とソンカは語り、「間違いなく、この優勝はチーム全員のおかげだ」と締めくくった。

 

◾︎Information

Red Bull Air Race World Championship 2018シーズン第6戦 ウィーナー・ノイシュタットは9月15日・16日に開催予定。