チャンブリス:2017シーズンへの取り組み

復活を期す米国人トップパイロットの機体には様々な変更が加えられている

Chambliss working with his raceplane

カービー・チャンブリスは最も大きな成功を収めたRed Bull Air Raceパイロットのひとりだ。通算8勝を挙げているチャンブリスはワールドチャンピオンにも2度輝いており、今もその記録を伸ばそうと日々努力している。

ここ数シーズンは再び表彰台を記録しているチャンブリスだが、競争心の強い米国人パイロットは満足していない。2015シーズンの終わりにポール・ボノムのチームでエアロダイナミクスを担当していたパウロ・イスコルドをチームに加えたチャンブリスは、2016シーズンのオフシーズンも、そのイスコルドにテクニシャンのジェイソン・レソップを加えた3人体制で、2017シーズンに向けて機体の調整に積極的に取り組んでいる。

機体の軽量化

オフシーズンにチャンブリスたちがまず取り組んだのは機体の軽量化だった。チャンブリスの機体は元々ブルーとシルバーのペイントが施されていたが、2014年にRed Bull Air Raceが再開した際に、Red Bullのペイントが上塗りされていた。しかし、上塗りは重量の増加を意味する。そこで、2017シーズンの開幕戦アブダビまでの時間は限られていた中で、チームは主翼のペイントをはがしてカーボンまで戻し、再ペイントを行った。

Photo courtesy of Team Chambliss

イスコルドは「仕事量はかなり多かった。何時間もやすりがけをして主翼のペイントを削り取った。この作業でどれだけの重量がセーブできたかについて具体的な数字を言うつもりはないが、カービー(チャンブリス)が実力を存分に発揮できる状態になっているのは確かだ。時間が限られていたので、ホイールパンツは新たに作り直すことにした。3DスキャニングとCNC(コンピューター数値制御)の機械工作を使用したが、これが非常に効果的だった。新しいデザインにしたことで機体にしっかりとフィットさせることができた上に、軽量化も実現できた」と説明している。

空冷性能の向上

正しい出力を得るためにはエンジンを特定の温度に保つ必要があることをチャンブリスのチームは長年の経験から学んでいる。イスコルドが説明する。「空冷エンジンなので、シリンダーヘッドとオイルを冷却するためのより効果的な方法を見つけ出す必要があった。これまでは、冷却はひとつのシステムとして行われていた。昨シーズンにカウリングを改良したことで冷却性能はある程度高まったが、オイルとシリンダーを別々に冷却できるような、ふたつのシステムを用意したいと考えていた。具体的な数字は言えないが、今回システムをふたつに分けたことで、冷却性能は2016シーズンよりも大幅に向上している。ジェイソン(レソップ)もフェリー便(機体の輸送)における自分の仕事がかなり楽になったので喜んでいる」

ウィングレットの改良

チャンブリスのチームはウィングレットの改良にも取り組んでいる。イスコルドは最後に次のように説明する。「大量のデータを分析した結果、自分たちのウィングレットはレーストラック上のターンでは上手く機能しているが、ストレートではかなりの空気抵抗を生み出していることが分かったので、フライト全体のエナジーを最適化するためにウィングレットをいちからデザインした。新ウィングレットはシミュレーションだけでなく、実際のフライトでのフロービズ(機体に特殊塗料を塗り、機体表面の空気の流れを視覚化するテスト)でも優れた数字を残している」

Photo courtesy of Team Chambliss

様々な変更が加えられたチャンブリスの機体が結果を残せるかどうかは、2月10日・11日の2017シーズン開幕戦アブダビで明らかになる。