王座防衛:ポール・ボノム

3度のワールドチャンピオン経験者が王座を守る心得を語る

Bonhomme on his way to victory

『王座防衛』シリーズでは、これまで3人のワールドチャンピオンに王座を守るために必要な条件を尋ねてきたが、Red Bull Air Race World Championship発足以来、2シーズン連続でタイトルを獲得したパイロットはただひとりしかいない。それがRed Bull Air Race史上、最も大きな成功を収めたパイロットとして知られるボノムは、2009シーズンと2010シーズンを連覇し、2015シーズンにも王座を獲得した。ボノムは期待の重圧に耐える心境がどのようなものなのかを熟知している。

しかし、全てが順調だったわけではない。2009シーズンに初タイトルを獲得する前は2シーズン連続で総合2位に甘んじており、そのうち1シーズンは首位にポイントで並びながらもタイトル決定戦で敗れた。ボノムは僅差の戦いでプレッシャーが大きくかかってくることを知っている。ボノムは次のように語る。

「一度チャンピオンを獲得すれば、重荷が取り除かれて『私もチャンピオンになれるんだ』と思える。非常にリラックスした自分がいる。ストレスが取り除かれるわけだ」

「しかし、当然ながらワールドチャンピオンより上の順位は存在しない。これは厄介な問題だ。王座を守る方法を考えなければならない。王座防衛には多大な努力が必要になる。2位以下のライバルたちはこれまで以上にハードに追い上げようとしてくるので、向上し続けなければならない。この努力が戦いの半分を占める。非常に疲れるが、賢く立ち回れば疲れ切ってしまうことはない」

ワールドチャンピオン防衛に成功した唯一のパイロットのボノムは、チャンピオンという栄光に酔ったままではいられないことを知っている。常に前進を続ける必要があるのだ。しかし、これは簡単ではない。ボノムが続ける。

「チャンピオン獲得後のシーズンは、ライバルたちはさらにハングリーになり、さらに激しく仕掛けてくる。つまり、自分もレベルアップする必要があることを意識しなければならない。レベルアップを考えず、『ワールドチャンピオンになれて幸せだ』とあぐらをかいていれば、苦しい戦いを強いられることになるだろう」とボノムは説明する。

しかし、速い機体を用意し、強力なチームに囲まれていれば勝てるわけではない。集中を保ち、プッシュを続けるには周囲に振り回されないようにする必要もある。

「肝心なのは心理的なプレッシャーを乗り越えることだが、プレッシャーの克服には様々な方法がある。フリープラクティスで自分よりもずっと速くフライトしているライバルを確認すれば、『何とかしてさらに速くならなければ』という心理的なプレッシャーが生まれる。かなりの負担になるが、賢く立ち回れば乗り越えられる。ポジティブに捉えて、『チームと自分はすでに実力を証明している』と言い聞かせる。これが意識できていれば、あとは『勝てるだろうか?』と案じる代わりに、勝利に必要な部分に集中するだけだ」

では、ボノムは具体的にどのようなアプローチで王座防衛に臨んだのだろうか? また、現役パイロットに送るアドバイスとは? ボノムは最後に次のようにコメントしている。

「自分がワールドチャンピオンでいられるのは、その年の12月31日までだと考えていた。『1月1日を迎えたら、私はワールドチャンピオンではなく、ただのパイロットに過ぎない。またチャンピオンになりたいなら、前年と同じように全力を尽くさなければならない』と。『自分はワールドチャンピオンなのだ。きっとうまくいく。何とかなる』と考えてはいけない。このような考えは通用しない」

 

【王座防衛:シリーズ】

第1回:室屋義秀

第2回:カービー・チャンブリス

第3回:マティアス・ドルダラー

 

▪️Information

2018シーズン 第2戦カンヌは4月21日、22日に開催。

第3戦千葉が5月26日、27日に開催決定。観戦チケットの一般発売は4月7日からの予定。詳細は特設サイト http://rbar.jp でご確認ください。