増え続けるウイングレット

Red Bull Air Raceのトレンドになりつつあるウイングレットとは?

Besenyei's new winglets

Red Bull Air Raceの空力デザインにおける最新のトレンドは、奇妙だが美しい形状のウイングレットの追加だが、果たしてこれはどのような機能を果たしているのだろうか?

今シーズンのRed Bull Air Raceでは、数多くのチームがライバルに差をつけるべく、機体にウイングレットやウイングチップを追加している。2014シーズンでウイングレットを追加していたパイロットはナイジェル・ラムだけだったが、オフシーズンにマット・ホールがMXS-Rにウイングレットを追加すると、2015シーズン開幕後はマティアス・ドルダラーとピーター・ベゼネイも追加。ハンネス・アルヒもアスコットから追加している。

今シーズンは共通のエンジンとプロペラを使用しなければならなくなったため、各チームは空力を調整してライバルとの差を広げようと努力しているが、その中で最も大きな効果を生みだせる調整のひとつが、翼端へのウイングレットの追加だ。

しかし、翼端への追加は特に新しいものではない。初めて試みたのはマイク・マンゴールドで、翼端にウイングチップを追加した。マンゴールドの愛機Edge V2の翼端は非常にフラットで四角かったため、彼はその部分の調整に取り組んだ。尚、マンゴールドのウイングチップはナイジェル・ラムのウイングレットとは異なり、基本的には主翼に平行して装着されており、端だけがやや持ち上がっているというデザインだった。

機体のスピードを遅くしてしまう空気抵抗には形状抗力と誘導抗力の2種類が存在する。形状抗力は機体の形状と表面のテクスチャによって決まる。これは走っている車の窓から腕を外に出した時に感じられる抵抗と同じで、速いほど大きくなる。一方、誘導抗力は揚力発生時の機体から発生するもので、速いほど小さくなる。

ウイングレットは空気の流れをスムースにすることで飛行時の誘導抗力を小さくし、機体のスピードを上げるパーツだ。

Red Bull Air Race World Championshipでウイングレットが最大の効果を発揮するのは、Gフォースが大きいターンだ。翼が能力の限界を迎えるこのようなターンで、ウイングレットは誘導抗力を大幅に減少させる。パイロットは誘導抗力が減少することで素早くターンできるようになり、結果としてタイムを削れる。

Red Bull Air Raceのエキスパートで、2度のワールドチャンピオンを経験しているマイク・マンゴールドは「Red Bull Air Raceでは、ちょっとした違いを生み出すことが勝利のカギになる。各チームのタイム差はほとんどないので、ウイングチップのような小さな変化でも、大きな結果をもたらすことになる」

「なぜそのような追加をするのか? 各チームは同じエンジンとプロペラの使用が義務づけられているので、パワー面の調整ができない。ゆえに彼らは機体のフレームを調整することになる。その中で一番簡単なのが翼端だ」

ウイングレットとウイングチップは異なるものだ。ウイングチップは主翼の延長と言えるフラットな形状で、角度はほとんどついていない。一方、ウイングレットは別の翼と言えるもので、主翼に対して角度をつけて装着する。

マンゴールドは「今後、ウイングレットに注目するパイロットは増えるだろう。最近はタイム差がほとんどないので、各パイロットは0.01秒を削ろうと努力している。そのわずかなタイムを削ってくれるのがウイングレットやウイングチップだ」

理論上はレーストラックに合わせたウイングレットを用意するのがベストなのだが、現状はパイロットの好みに合わせたウイングレットが用意されているようだ。マンゴールドが続ける。「各チームはパイロットのスタイルに合わせたウイングレットを開発するようになりそうだ。よって、今後は様々な形状のウイングレットを見かけるようになるだろう」