急成長を遂げたブラジョー&マーフィー

ミカ・ブラジョーとベン・マーフィーは、それぞれのマスタークラスルーキーシーズンで前例のない早さで成功を収めた。チャレンジャークラス出身の彼らは、すでにトップパイロットたちと互角の勝負を展開しており、2019シーズンは新たなライバル関係の誕生も予想される。

元エアロバティックスチャンピオンのブラジョーは、チャレンジャークラスに2シーズン参戦したあと、Red Bull Air Raceマスター・メンター・プログラム(Master Mentoring Program)に参加し、2014シーズンのワールドチャンピオン、ナイジェル・ラムから直接指導を受けた。そして、ラムの現役引退を受け、ラムが使用していたレース機体とチームメンバーを引き継ぐ形で2017シーズンからマスタークラスに昇格したフランス人パイロットは、ルーキーシーズンで24ポイントを獲得。

さらにはラウンド・オブ・8進出4回というマスタークラスルーキー新記録を打ち立てた。また、2018シーズンのブラジョー率いる#11RACINGはさらなるレベルアップを果たし、初の表彰台を獲得すると共に総合4位でシーズンを締めくくった。「努力こそが成功の秘訣だ」と現在31歳のブラジョーは語る。「個人の努力とチームの努力、ここに極めて高いモチベーションと素晴らしいチームスピリットを加える。あとは、限りなくベストなフライトをするだけだ」

[写真] 2018シーズンのブダペストでマスタークラス初表彰台を獲得したブラジョー

一方、マーフィーは英国空軍エアロバティックチーム、レッドアローズのチームリーダーを務めていた経歴を持つ。彼もブラジョーと同じくチャレンジャークラスに2シーズン参戦したのち、2018シーズン開幕戦からBlades Racing Teamと共にマスタークラスでの戦いをスタートさせた。同シーズンのマーフィーは2回のファイナル4進出を果たし、合計29ポイントで総合7位を獲得。ブラジョーのルーキシーズン最多ポイントを上回った。

マーフィーは次のようにシーズンを振り返っている。「まだ始まったばかりだ。ルーキシーズンは全てが完全に上手くいったレースはひとつもなかったが、いくつか素晴らしいリザルトを手にできたという事実は、チーム全員のハードワークと、新チームの結束力の証明だ」

[写真] 素晴らしい成長を見せたマーフィーとBlades Racing Team

Red Bull Air Raceのレースディレクターを務めるスティーブ・ジョーンズは、チャレンジャークラス・パイロットたちの指導も担当しており、ブラジョーとマーフィーの急成長を間近で見てきた。2人は最初から才能の片鱗を見せていたとするジョーンズは、"チーム" の重要性についても強調しており、次のように説明している。

「World Championshipでポイントを獲得するには、優れた操縦技術以上が必要です。ミカとベンの2人は、高い能力を持つメンバーを集められる能力も持ち合わせていることを示しました。成功のためには "パッケージ"、つまり、パイロットのスキル、チームメンバーの能力、機体のパフォーマンスの総体が必要です。このうちどれかひとつでもトップレベルに達していなければ、そのパイロットは成功しないでしょう」

また、ジョーンズは、ニューカマーたちが有するフライトキャリアの素晴らしさについても指摘し、次のように結論づけている。「新たにマスタークラスへ昇格したパイロットたちが一気に注目され、すでに名声を得ている先輩たちをかき回している様子を見るのは爽快ですね」

興味深いことに、ブラジョーとマーフィーのチームの間には多くの接点がある。マーフィーのタクティシャンを務めるニール・ファーネスは、2017シーズンはブラジョーのチームに在籍し、ブラジョーのタクティシャン、マックス・ラムのアシスタントを務めていた。「ニールと私は、父からミカへチームが引き継がれた時期に同じハンガーで働いていました」と語るのは、元ワールドチャンピオン、ナイジェル・ラムの息子マックス・ラムだ。「ニールの元にBlades Racing Teamでタクティシャンのポジションで働くオファーが届いた時、私たちの仕事は重なっていました。上のレベルの仕事をするためにお互いチャンスを掴んだんです」とマックスは語り、「ニールとは知識を共有していますし、仕事とプライベートの両方で長い時間を過ごしてきました。ですので、私にとってBlades Racing Teamは永遠のライバルですね」と続けた。

[写真] レース戦略について話し合うマックス・ラム&ミカ・ブラジョー

殊勲のリザルトを残せばその分だけ周囲からの期待が高まる。チャレンジャークラス出身パイロットの多くがマスタークラスでファン(とライバル)を魅了しているが、ブラジョーとマーフィーへかかるプレッシャーの大きさは、他のパイロットの時よりもハイペースで増している。「周囲が予想していない時にレースをかき回せたのは楽しかった」とブラジョーは語る。「今、チームはひとつずつ取り組み、外的なプレッシャーに影響されないように努めている。自分たちがやるべきことことは理解しているし、チームとしてまとまっている。上手くいかない時もあるが、考えをまとめ、ミスから学び、より強くなって戻っている。2019シーズンがチームにとってさらに良い1年になることを期待している」

マーフィーは、2019シーズンに向けたマインドセットを次のように打ち明けている。「学習と進歩を続け、プッシュし続ける。あとは謙虚さを保つ必要がある。チームは仕事の進め方を成熟させなければならない。また、レース機体の空力特性を理解するためにやらなければならない作業も数多くある。とはいえ、最も大事なのは、引き続きレースを楽しむことだ。これほどエキサイティングなチャンピオンシップでレースできるのは最高だ。成長を続けるダイナミックなモータースポーツに参加できているのは本当に名誉なことだ。2019シーズンもファンやスポンサーに成功の1年をもたらしたい」

 

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