


コックピットの進化
G3Xは飛行機の伝統と言えるアナログ計器類に代わる画期的なディスプレイシステムだ。必要なすべてのデータがひとつの画面にまとめて表示されるため、パイロットたちがレースに集中することを可能にしている。また、G3Xはアナリストたちが必要なデータを自動で集積するため、パイロットたちのライン攻略の大きな助けにもなる。
今シーズンは3チームがG3Xを導入している。Team GoulianとTeam Garminが開幕戦アブダビから導入し、ハンネス・アルヒも第2戦シュピールベルクから導入した。
Team Garminのテクニシャン、パット・フィリップスは「計器類が一気に見やすくなりましたね。フライトの分析に必要なデータもすべて集積してくれますし、エンジンをベストの状態に保つ燃料流量も設定してくれます。また、ゲージのカスタマイズもできるので、必要なパラメータの表示範囲も自由に設定できます」とそのメリットについて説明している。
また、同じく開幕戦からG3Xを導入したマイケル・グーリアンのチームのパブロ・ブランコも「信頼性が高いですし、フライト後のデータ分析に非常に効果的です。ひとつのシステムにすべてがまとまっているのは便利ですよ」と高く評価する。
しかし、G3Xの導入は時間がかかるようだ。ハンネス・アルヒのチームでテクニシャンを務めるナイジェル・ディッキンソンは「すべてを準備するのに3週間かかりましたが、その甲斐はありましたね。航空電子工学の未来と言えますし、すべての面で助けになってくれています」と説明している。


G3Xは、無線やトランスポンダーなどフライトに欠かせないコンポーネントがリモートになっているので、機体の好きな場所に設置することが可能だ。ディッキンソンはそのメリットを次のように説明する。「場所を選ばないので、CG(Centre of Gravity:重心)をハンネスのスタイルに完ぺきにフィットする形に調整して、機体のバランスを取ることができています。また、レース中にすべてのデータがひとつの画面に表示されるので、本人はレースに集中できます。GX3はすべてのチームが導入すると思いますよ。導入しない理由が見つかりませんね」
パイロットの高度なスキルと最新のテクノロジーの融合が今後のレースのカギとなりそうだ。