航空テクノロジーの最前線

究極の敏捷性と完全なストリームラインを目指してデザインされているRed Bull Air Race World Championshipのレース機体は、軽飛行機テクノロジーの最前線に位置している。

最高時速:

425.97km/h(230 kts)

レース機体は高速飛行を実現するために軽量化が図られているが、重力の10倍(10G)まで耐えられる堅牢性も実現されている必要がある。

ロールレート:

420°/秒

プロペラエンジンを動力とするレース機は機動力に優れており、わずかな操作で高速のまま垂直飛行へ移行できる。そのスピードと機動力は近代のジェット戦闘機も敵わない。

パワーウェイトレシオ:

0.472hp/kg (0.214 hp/lb)

かつてのRed Bull Air Raceでは、チームはレース機体を自由に改造することが可能だったが、2014シーズンから全チーム共通のエンジンとプロペラの使用が義務づけられた。そのため、現在は厳しいテストをクリアしたLycoming Thunderbolt製AEIO-540-EXPエンジンとHartzell製7690複合材3枚プロペラがルールに沿ったパフォーマンスを発揮している。

また、このルール改正を受けて、各チームとパイロットは、レース機体の空力性能の改良および、パイロットスキルと能力の追求に取り組むようになっている。

plane MXS-R:
全長: 6.1m
翼長: 7.32m
クライムレート: 3,500ft/min
max g: +/-14G
plane Edge 540 V2:
全長: 6.3m
翼長: 7.44m
クライムレート: 3,700ft/min
max g: +/-12G
plane Edge 540 v3:
全長: 6.3m
翼長: 7.44m
クライムレート: 3,700ft/min
max g: +/-12G

MXS-R

MXS-Rは最新のデザインとテクノロジーを誇る。Edge 540とライバル機であることから “Edge Beater” の異名を持つMXS-Rは、優れた空力性能の実現を目指して最新のコンピューターによるソリッドモデリングで設計された。

このような設計思想を持つMXS-Rはすでにエアレースで高い評価を得ており、その美しい流線型のデザインはパイロットたちの間でひとつの芸術作品として考えられている。

MXS-Rは他の機体よりも頑丈で耐久性に優れている航空宇宙用カーボンファイバーで製作されており、この特徴がこの機体を唯一無二の存在にしている。

Edge 540 V2

Zivko Aeronauticsが製造しているEdge 540はアグレッシブだが、精密で操縦性能も高い。このシングルシーターのレース機体はRed Bull Air Raceのパイロットたちの間で一番人気だが、その主な理由は胴体部分にある。

Edge 540のコンピューターによって最適化された鋼管フレームは非常に軽量ながら強度に優れており、修理も簡単に行える。

珍しい直線のウイングデザインで知られるEdge 540は、カービー・チャンブリスがエアロバティクスの大会で使用したことが大きなきっかけとなり、世界各国の航空業界から注目を集めるようになった。Edge 540 V2は、オリジナルに様々な変更を加えた、テクノロジー面が大きく進化しているバージョンで、そのラディカルなウイングは、機体デザインの未来を切り拓いたとして高く評価されている。

Edge 540 V3

過去数シーズンで、多くのパイロットがRed Bull Air Raceに最適化されたEdge 540 V3に乗り換えている。Edge 540 V3はこれまでのEdge 540とは様々な部分が異なっており、たとえば、Gフォース耐性が高められた他、胴体部分の空力性能が改良されて空気抵抗が減っている。また、キャノピーデザインが滑らかになり、排気システム、翼付根、リアホイールパンツが改良され、ウイングレットのサイズアップ、ランディングギアの短縮化、カウリングのアップグレードも実現された。

2018シーズンのチャレンジャークラスは全パイロットがEdge 540 V2に登場した。チャレンジャークラス創設時から2017シーズンまでは、各開催地に持ち込まれる3機のExtra 330LX(2シーター)を全パイロットで共有するというフォーマットが採用されており、Extra 330LXも特に問題はなかったが、2018シーズンからは同数のEdge 540 V2が代わりに導入された。

Red Bull Air Raceのテクニカルマネージャーを務めるウェイド・ハモンドは機体変更の背景について「テクニシャンの仕事的にはEdge 540の方が楽です。また、チャレンジャークラスのパイロットたちも、マスタークラス昇格へ向けてベターなトレーニングを積めています」と説明している。