レーストラック設営の難しさ

「私たちの仕事の大半は自然が相手だ」と切り出すのは、レーストラック・オペレーションチームのヘッドを務めるマルコ・ファン・エスだ。彼は全開催地で同職のイヴァンカ・コスタースと一緒にレーストラック設営作業を仕切っている。2005シーズンからこのスポーツに関わってきた彼は経験豊富だ。

「ロンドンでは6時間ごとに高さ7mの波が立ったし、千葉では台風が直撃した。アブダビでも過去40年で最大の嵐に見舞われた。その他にも色々なアクシデントがあった。サンフランシスコでは海中ケーブルを噛もうとするアシカの対応に追われたし、オーストラリアのパースでは海中作業中にサメを見かけたよ!」

勝負の行方を左右するアナリスト

近年はフライトが終わるたびにコンピュータと共にアナリストの横に座り、次のフライトを更に良くするために何ができるのかを事細かく確認するパイロットたちの姿が数多く見られる。

アナリストをチームに加えた最初のパイロットのひとりがナイジェル・ラムだった。大学で工学を学んだ息子マックスをチームに加えたことで、ラムは2014年のワールドチャンピオンに輝いた。

アナリストは多忙を極める。レース前の段階からチームの中で最も忙しい人物になるマックスには、まずパイロットと同じタイミングでレーストラックのレイアウトが渡される。「私はフェラーリのF1チームでテクニカルディレクターを務めているジェームズ・アリソンが開発したプログラムを使っているんですが、このプログラムは基本的にはソルバです。レイアウトを受け取ったあとで、各ゲートの座標と特徴、つまり、シケインのゲートなのか、通常のゲートなのか、バーチカルターンのゲートなのかを入力して、最速のラインをはじき出します」

この作業はかなり骨が折れる。マックスが説明する。「最初のデータを出すまではかなり時間がかかります。レーストラックを正確に分析するには丸2日かかりますね。それから更にもう1日を費やして、実際に父が活用できるようなデータを完成させます」

ウイングレットの導入を考えるグーリアン

「ハンガーに機体を入れてから、短期間でかなりの改良を行ってきた」グーリアンは説明した。

グーリアンのチームはEdge 540 V2の重量を約36kg落とし、カスタムメイドのエンジンカウル、着陸装置、ホイールパンツを導入した。また新しい内装や電気系統、チタン製防火壁、カーボン部品なども導入された他、千葉ではキャノピーもカスタムメイドのV3型に換装される。このような変更を行った上で、グーリアンはウイングレットの追加も考えている。

「今シーズンはどのチームも翼に改良を加えているのは明らかだ。まだ1レースしか終えていないが、マット・ホールはウイングレットを追加して躍進した」

既に今シーズンは改良のために多額の投資をしているグーリアンだが、ウイングレットの追加という更なる投資にも価値を見出しているようだ。「今シーズンはウイングレットのデザインを含め、かなりの金額を投資している」と説明したグーリアンだが、そのウイングレットを実装するかどうかについては口を閉ざし、「ウイングレットの追加は更なる投資になる。次の数レースで様子を見て、開発を続けるかどうか判断したい」と続けた。