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シャークスキンとは?

シャークスキンは最新の技術ではないが、ウイングレットとは異なり、注目されるまで時間がかかった。Red Bull Air Race World Championshipが再開した2014シーズンに故ハンネス・アルヒが初めて導入したあと、他のパイロットはしばらく疑いの目を向けていたが、最近は導入するパイロットが増え始めている。

Red Bull Air Raceでは共通のエンジンとプロペラを使用することがレギュレーションで決められているため、各チームは空力を調整し、空気抵抗を最小限に抑えることでライバルに差をつけなければならない。シャークスキンはその目的のために導入される変更のひとつだ。

コックピットの進化

G3Xは飛行機の伝統と言えるアナログ計器類に代わる画期的なディスプレイシステムだ。必要なすべてのデータがひとつの画面にまとめて表示されるため、パイロットたちがレースに集中することを可能にしている。また、G3Xはアナリストたちが必要なデータを自動で集積するため、パイロットたちのライン攻略の大きな助けにもなる。

今シーズンは3チームがG3Xを導入している。Team GoulianとTeam Garminが開幕戦アブダビから導入し、ハンネス・アルヒも第2戦シュピールベルクから導入した。

Team Garminのテクニシャン、パット・フィリップスは「計器類が一気に見やすくなりましたね。フライトの分析に必要なデータもすべて集積してくれますし、エンジンをベストの状態に保つ燃料流量も設定してくれます。また、ゲージのカスタマイズもできるので、必要なパラメータの表示範囲も自由に設定できます」とそのメリットについて説明している。

F1 vs. Red Bull Air Race

インフォグラフィック解説:上から順に「最大G」・「最大エンジン回転数」・「最高速度」・「1周の距離」・「最小重量」となっている。

April 23rd - 24th

機体の分解・組立

Red Bull Air Race World Championshipは世界各地を転戦するため、機体は3大陸にまたがる全8戦に向けて輸送されるが、輸送するためには、機体は分解・梱包されたあと、再び組み立てられるという手順を踏むことになる。その手順を踏んで既にシュピールベルクに到着している各機体は、これからレース本番に向けた調整が行われる。

輸送のための機体の分解・組立は慎重かつ正確に行わなければならないため、かなりの重労働になる。この段階でなにかミスがあれば、レース本番に大きな影響を及ぼすことになるが、各チームと輸送会社はエキスパートであり、自信を持ってこの作業に取り組んでいる。

ハンネス・アルヒのチームでテクニシャンを務めるナイジェル・ディッキンソンも、当然ながら機体の分解と組立に精通している。彼の手際はもはや芸術の域に達しており、彼がいなくても機体は現地で問題なく組み立てられていく。ディッキンソンは整理整頓がカギだとしている。

勝負の行方を左右するアナリスト

近年はフライトが終わるたびにコンピュータと共にアナリストの横に座り、次のフライトを更に良くするために何ができるのかを事細かく確認するパイロットたちの姿が数多く見られる。

アナリストをチームに加えた最初のパイロットのひとりがナイジェル・ラムだった。大学で工学を学んだ息子マックスをチームに加えたことで、ラムは2014年のワールドチャンピオンに輝いた。

アナリストは多忙を極める。レース前の段階からチームの中で最も忙しい人物になるマックスには、まずパイロットと同じタイミングでレーストラックのレイアウトが渡される。「私はフェラーリのF1チームでテクニカルディレクターを務めているジェームズ・アリソンが開発したプログラムを使っているんですが、このプログラムは基本的にはソルバです。レイアウトを受け取ったあとで、各ゲートの座標と特徴、つまり、シケインのゲートなのか、通常のゲートなのか、バーチカルターンのゲートなのかを入力して、最速のラインをはじき出します」

この作業はかなり骨が折れる。マックスが説明する。「最初のデータを出すまではかなり時間がかかります。レーストラックを正確に分析するには丸2日かかりますね。それから更にもう1日を費やして、実際に父が活用できるようなデータを完成させます」

パイロットのGフォース対策

マイケル・グーリアンは次のように説明する。「Gフォースはパイロットにとっての敵だ。Gフォースがかかればパイロットたちは快適に飛べなくなる。操縦席に押しつけられて、スロットルから手を離したくなる。Gフォースとは常に戦闘状態だ」

グーリアンはGフォースに対抗するためのトレーニングは2種類あると続ける。「ウェイトリフティングをして自分の体を鍛える、あとはフライトを重ねて耐性を高める、この2つだ」

他のスポーツのトレーニングとは異なり、Gフォースへの耐性を高めるにはフライトをするしか方法がない(NASAに向かうか、Gフォースシミュレーターを買うかしない限り)。グーリアンが説明する。「フライトを重ねている限り問題はない。ただし、他のトレーニングと同じで、回数が減ればその分だけ耐性も下がる」

グーリアンは、レースが近づくと、Gフォースの耐性を高めるトレーニングを最初にこなすとしている。「とにかくGフォースをかけて、体が押し込まれ、視野が狭くなるまで待つ。そしてその瞬間にターンを抜ける。こうすれば首の後方の筋肉が引き締まるので、Gフォースへの耐性が高まる」

ウイングレットの導入を考えるグーリアン

「ハンガーに機体を入れてから、短期間でかなりの改良を行ってきた」グーリアンは説明した。

グーリアンのチームはEdge 540 V2の重量を約36kg落とし、カスタムメイドのエンジンカウル、着陸装置、ホイールパンツを導入した。また新しい内装や電気系統、チタン製防火壁、カーボン部品なども導入された他、千葉ではキャノピーもカスタムメイドのV3型に換装される。このような変更を行った上で、グーリアンはウイングレットの追加も考えている。

「今シーズンはどのチームも翼に改良を加えているのは明らかだ。まだ1レースしか終えていないが、マット・ホールはウイングレットを追加して躍進した」

既に今シーズンは改良のために多額の投資をしているグーリアンだが、ウイングレットの追加という更なる投資にも価値を見出しているようだ。「今シーズンはウイングレットのデザインを含め、かなりの金額を投資している」と説明したグーリアンだが、そのウイングレットを実装するかどうかについては口を閉ざし、「ウイングレットの追加は更なる投資になる。次の数レースで様子を見て、開発を続けるかどうか判断したい」と続けた。

機体の軽量化

Red Bull Air Raceのレギュレーションでは機体とパイロットを合計した最低重量が696kgに定められている。各チームはこの数字を目指し、様々な方法で軽量化に取り組んでいく。軽量素材への変更やスクリュー・ネジの小型化などが行われる他、また可能な場合はパーツに穴を開けることもある。

一方、機体の性能を引き出すためにウィングレットやエアインテークの追加も行われる。ポール・ボノムはエアインテークを改良してエンジンの空冷性能を向上させており、これによってより多くのパワーを得ることに成功している。尚、マット・ホールのウィングレットも今シーズン結果を残している。

今回は機体の軽量化・改良を目指す各チームの取り組みを映像で紹介する。

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天候への対応

Red Bull Air Raceの各機体には非常にパワフルな6シリンダーのLycoming製エンジンが搭載されている。このエンジンは耐久性が高く、315bhpを出力するが、天候がこのエンジンのパフォーマンスに大きく影響する。

今シーズンのアブダビは高温による気温の上昇が原因で、パイロットたちは特にレース後半で機体のパワー不足に悩まされた。今シーズンのRed Bull Air Raceはまだ3大陸7レースの開催が予定されているため、パイロットたちは様々な天候条件の中でのレースを強いられる可能性が高い。

Red Bull Air Raceのテクニカルディレクター、エッカード・モールはエンジンの最大出力を引き出す天候条件について次のように説明する。「天候はエンジンのパフォーマンスに影響を与えます。これはランナーやアスリートと同じです。高温、高地、または雨中でのランニングは誰も望まないはずです。なるべく低い平地で空気の澄んだ、やや低い気温でランニングするのがベストでしょう。そういう意味で、レースに最適な場所は北極か南極でしょうね。エンジンには最高の場所です。ただし、パイロットには厳しいでしょうね(笑)」